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千年万年りんごの子、完結。

評価:
コメント:衝撃と感動のラスト。

千年万年りんごの子[3]

最初はツタヤでレンタルしたんです。
1巻を読んでからしばらくして2巻が出たので借りて読んで、
3巻が出たら全部改めて購入しようと考えていたのですが
3巻を待ちきれずに、1、2巻を買ってしまい、
それを何度も繰り返し読みながら3巻が出るのを待っていました。

昨日、この3巻を買って、
待ちきれずに店舗外のテラスでたこ焼きを食べながら読みました。
最初の数ページを読むとすでに涙が出てきて
最後の方はほとんど号泣しながら読みました。

オットちゃんが
「大丈夫〜ツマちゃん?」
と笑っていました。

***

寺の住職の家に拾われ、育てられた雪之丞は、
まわりに迷惑をかけないよう静かに穏やかに笑顔で生きてきた。

ある日、見合いで知り合った青森のりんご農家の娘・朝日の家に
東京から婿として入る。

愛はないけど、早く家を出たい。

農作業を繰り返し、たんたんとした日々が過ぎる中、
風邪をひいた朝日に
村のはずれからとってきたりんごを食べさせるが
それは、触れてはいけない禁忌の実だった・・・・

***

「おぼすなさま」と呼ばれる神様のりんごを食べてしまったために
妻である朝日の身に起きる出来事に
それまでまわりにあわせて生きてきた雪之丞にも変化が起きます。

民族学的なアプローチにも関わらず
普遍的な愛を描いていて
たぶん全3巻なのも、最後までたるむことなく突っ走る勢いを持った
感動と衝撃のストーリーです。

結末には賛否両論あるようですが
私はとても好きな終わり方でした。
なんというか、読み終わった後も
ふたりのその後が自分の中に息づいているように思います。
きっと、ふたりとも、とてもしあわせだったと信じたい。

予想もしないできごとがふたりに起こった時に
こんな風にお互いを愛し続けられる夫婦でいられれば幸せですね。

巻末の小さな物語も、本編のイメージを膨らませるのに
とてもよくできていると思います。


これが昨日の晩ごはんのたこやき。

海辺のモールのテラスだったので
私が本を読んでいる間、
オットちゃんは嬉々として
あたりの雰囲気写真を撮りまくっていました(笑)

行った時には明るかったのに、帰る頃には真っ暗になっていました。


お弁当。
高菜のお漬物と水にさらしてしゃきっとなった菜の花が主役です

今日は1日、曇り空のようですね。

読後感想

寝る前に読み始めたらとまらなくなって読んじゃいました(汗)

誘拐殺人のえん罪事件をテーマにした作品。
汚いことをして一代で築いた建設会社で
地元の権力を握る社長の娘が誘拐されました。

1億の身代金を運ぶのは母親で
受け渡し時に犯人を捕まえられる可能性はないと踏んだ警察は
身代金を「渡さない」ことを指示。
結果、娘は無惨な姿で発見されるのですが・・・

(以下ネタバレ)
両親は「金を渡せば娘は帰ってきたに違いない」と
娘が殺されたのが身代金受け渡し時間より早かったか、遅かったかを問いつめるが
この会社と癒着のある警察本部長はスキャンダルになることを恐れ、
事実を曲げた死亡推定時間をでっちあげます。

一方で、犯人を挙げることに血道を上げる現場では
死んだ娘を発見し、財布から4千円を盗んだ男を事件の犯人に仕立てあげ
裁判で死刑が宣告されてしまう。

この後、2審で偶然ついた国選弁護士がえん罪ではないかという疑いを強め
無罪に向けて証拠を探すのですが・・・





という内容。
2006年にドラマにもなったようです。

サスペンスとしては、書き慣れていない印象の筆致ですが
法曹界出身の作者なので、おもしろいのは自白をさせる手口や
リアルな裁判の経過です。

しかも、真実や事実がことごとく権力や金の壁によって
握りつぶされてしまうところが「なるほど」と思わせます。

今、国税局を舞台にした「ナサケの女」と
会計検査長を舞台にした「黄金の豚」という2本のドラマ
(設定もスタイルもほとんどおんなじ!)を
多少ガマンしながらみています。

昨日あった「黄金の豚」では、不良上がりの主人公が
警察の集会でステージに上がって警察の横領を暴き
「しっかりお金は返してもらいます!」と
遠山の金さんばりにセリフを決めるシーンがあったのですが
見た感想は「ありえない」。

あんなドラマに共感なんかできるわけないのに
脚本家は何を考えてるんだろうか。
今クールはお金をテーマにしたドラマが多くて
それは不景気で政治や国家に不満を持った国民の
ストレス解消を狙った部分もあるんだろうけど、
あんな不自然な設定、見ててシラけてしまう。

それよか。
それよか、この「死亡推定時刻」のように
貧乏な人間はえん罪であってもまともな弁護も受けられず死刑判決を受け、
金がある人間は犯罪を犯しても罪にならない、という現実を
白日の下にさらしてもらう方がなんぼかすっきりします。

現に、起きている某政治家の政治資金問題において
どんだけスーパーな弁護士によって
どんだけの権力と力関係が審理に影響を与えるのかってことを
ドラマにしてくれた方がよっぽど共感できる。

そういう意味で面白い本でした。
えん罪の被害者も国選弁護士も裁判の中でとにかくメタボロにやられるんだけど
最後に「希望」を捨てない感じで終わったのも読後感がよかった。



で、これ読み終わって目が冴えて眠れず
半分程読んでいた「東京島」も読んでしまう・・・
桐野夏生はいつも思うけど男らしいな〜。
肉食女子?

無人島のサバイバルの中でもセンチメンタルとかまったくないし。
ただ、生き残るための人間としての本能があるだけで
状況に応じてヒラヒラと身をかわす人々の姿がたくましい!
しかもこっちも読後感さっぱり。

私としては主人公の清子には木村多江ではなく渡辺えりにやってほしかった・・・
木村多江さん、きれいすぎでしょ。








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楽園

文庫になったら読もうと思いながら忘れていた!

寝る前にちょいとだけ・・・と思って頁をめくったら
あっという間に3時間経ってました。
恐るべし宮部みゆき。

主人公が昔なんかの事件に巻き込まれたらしい。
でもなんでかあんまりその事件のことに触れないわね、
と思っていたら、その事件とは「模倣犯」のことだったのですね。

私「模倣犯」も文庫になったら読もう、と楽しみにしてたんですが
その前に映画になっちゃって、
しかも映画の主人公を演じた人が「え?」という感じで
「模倣犯」自体にケチついた印象でそのまま読まずに今に至っております。

けどそろそろ頃合いかな。
「模倣犯」も読みたくなってきました。

上下刊でテキトーな厚みもあるし、楽しめるわー♪と思ってたのに
3日しか持ちませんでした。
途中で止められんし・・・

***

あらすじは・・・

9年前の「模倣犯」事件で心に痛手を負った主人公の女性ライターの元にある日、知人から「話を聞いてやってくれ」と一人のおばさんを紹介される。

おばさんは52歳。40を過ぎて授かった小学6年生の息子を交通事故でなくしたばかりで「息子に特殊な能力があったようなのだが、それについて話を聞いてほしい」という。

息子は生前、絵を描くことが好きだったのだが、なぜか2種類の絵を描き分けた。

美術の時間に描いたとても技術力のある絵と
「頭の中がぐるぐるしている」時に描いた幼稚な絵。

幼稚な絵の方は「ちゃんとしてないから他の人には話さないで」といわれていたが、どうもその絵は過去に起きた(そして息子が亡くなった後に発覚した)事件現場と思われる絵が含まれていた。

当然「そんなことはある訳がない」と考えて、超能力ではないと証明するために始めた調査で意外な事実が明らかになってくる。

***

・・・という感じの出だしなんですが、おもしろそうじゃない?

宮部みゆきさんは、人物描写がうまいですよね。
キャラクター設定というか、みんなどこか欠点を持ってる感じが
とてもリアルです。

それと視点の変更が巧みです。
自分の目が映画のカメラみたいに、神の視点になったり
主人公の視点になったりしながら
そのキャラクターをものすごく詳しく伝えてくる。

だから人がたくさん出てきても、あれ誰だっけ?ってことがありません。


ちなみにオットにもこの出だしの部分を話したら
「その息子は二重人格やろ」っていわれました。

さて、彼の推理は当たっているでしょうか?



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枕元の本たち

ムラカミハルキさんが1Q84の第三章を執筆中だそうですが
私、随分前に買ってからまだ読んでません。
なんか、もったいなくて。

それにしても「ねじまき鳥クロニクル」に比べると
今回はかなりスパンが短いですね。
ファンにとってはうれしいことですが。

寝る前にはいまさら「中国行きのスローボート」とか
「回転木馬のデッド・ヒート」とかくりかえし読んでます。
同じものを何度も読むのが楽しいのは
ムラカミハルキ作品の特徴だと思う。

「象の消滅」なんかも持ってます。
黄色とトレペ風の装丁が美しいの。
しかも再編集でいろんな短編がバラバラに入ってるので
不思議なことに既読でも読後感が違います。

あと、枕元に置いて寝る前にいっつも読む本は

「Z」青池保子
・・・「エロイカより愛をこめて」は全巻持ってます。
時々むしょうに読みたくなって、1巻から読みますが
何度読んでもしあわせな気分になります。
Zくんのがんばりが際立つ1冊です。

「グーグーだって猫である」
・・・サバが亡くなるくだりは涙なしには読めません。
新しい猫はサバみたいに人間の言葉を話さないのが不思議。
大島弓子さんが描く猫はみんな話すかと思っていたので。
やはりサバというキャラクターが書かせた物だったんですね。
最近映画になりましたがまだみてません。

「駅から5分」
「月のパルス」
「α」 くらもちふさこ
ここでも何度も書いてるように
私の憧れの男子像はくらもちふさこのマンガの男子。
あーどっかにあんな男の子いないかなぁ。
(いたとしたって相手にはされませんが)

タイトルがでませんが、山岸凉子とか
手塚治虫とかもあります。

これらの本を読む時間は
眠りに落ちる前のひとときの癒しタイムです。

***

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1Q84

1Q84

世の中の多くのみなさんと同じく

上下巻、購入してますがまだ読んでません。


そもそも文庫で買おうと思っていたのに

春樹なんかに全く興味のないオットが

本屋に行くたび


「買わんの?


と言う。


「だって2冊で4千円もするのに」


と言うと


「ツマちゃんの洋服代に比べたら安い


と言われたので、買いました。

ま、安いね。




村上春樹の本は(評論を除いて)

9割方持ってますが

いつも、読み始めるのに躊躇してしまいます。


だって、なんか、もったいない。

読み始めたらとまらなくなってすぐに読んでしまうのはわかってるし。


しばらくは枕元に置いて

読み始めるのに最適な時期を探ります




一方、「世界は村上春樹をどう読むか」は

予想外におもしろかった。


村上春樹を語る国際会議、みたいなのがあって

世界中の翻訳者とかが集まって

彼の作品や、翻訳状況について語っているのですが。


基調講演でその作風を「ミラーニューロン」に例えた

科学的なアプローチが興味深かったです。

文学と科学。


繰り返される「異世界」「井戸」「2つの世界」の話。

登場人物は、カップルでいるようでいて

そこには1人しかいない、とか

そういうことをうまいこと解説してくれてました。




あ、また雨が降り出した。

関東地方は梅雨明けしたというのに

なんで九州はまだなの?




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私の好きなエッセイ

定食屋さんなんかで時々みかける
週刊ポスト的なおじさん雑誌に載ってるエッセイなんですが
わりと好きです。

どこそこで食べた海老フライのこととか
およそこの世にあるかなりの食べ物について
毎回、表から裏から横から
叩いて伸ばしてねじってあれやこれやと考察してくれてます。

時々、突然頭にきて
江戸っ子っぽく(ご本人が江戸っ子なのか知りませんが)
べらんめえ調にお怒りになるとこで
ぷふっと笑ってしまいます。

とはいえ、本を買ったのは初めてで
オットに
「ツマちゃん、その人のエッセイ好きっていいよったもんね♪」
といわれてしまいました。

もうね、果てしなくたくさん、本が出てるのですよ。
ここまで長いこと書き続けるというのにもすごい尊敬。

東海林さだおさんは1937年生まれの72歳。
この文庫は5年ほど前のもののようですが
たぶん今もまだ書いておられると思います。

まだまだ書き続けて
ぷふっと笑わせてほしいと思います。




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容疑者Xの献身

映画見たんですよね。
ガリレオ。

そしたらかなりよかった。
泣きました

想像を絶する深い愛の物語です。
人は、見返りも代償も求めず
ここまで大きく広く人を愛することができるものなのでしょうか?
手塚治虫の「ブッダ」の中で
同行する飢えた2人に卵を提供してもらう代わりに
卵を守る親蛇に自分の身を(エサとして)投げ出す
幼い僧の姿を思い出しました。

オットと
「ひさびさいい映画やったねぇ」
と共感し合い、
「でも、ガリレオじゃなくてもよかったんじゃない?!」
というとこでも同意見。

福*雅治初主演映画と銘打ちながらほとんど主役なのは犯人のふたり。
ガリレオじゃない「いい映画」だったら観客動員が図れないからか。

それで未読だった原作を読んでみました。
東野圭吾はガリレオシリーズ以外はほとんど読んでるので
原作がすばらしいのはわかってたんですが、
湯川学をどんな感じに描いてるんだろうと思ったら!

ほぼ原作通りの映画だったんですね。
ここまでとは思わなかったんで、びっくりしました。
シーンの構成もエピソードもほとんどそのまんま。

ただし、犯人の石神は「顔が大きくてのっそりした」容貌なので
堤*一はかっこよすぎるかも。

湯川学は石神のことをよく知っていたからこそトリックにも気がついたので
種明かしをするためにはやっぱり必要な人物ではあるけど
この事件に関しては単なるストーリーテラーですよね。
決して主役ではない。

他の作品を読んでないので
他のガリレオシリーズでもそうなのかはわかりませんが。

それにしてもほとんど同じ内容なのに
本を読んでまた泣いてしまいました。
さすがだ。

結末には賛否両論あるようですが
別に推理小説と捉えなくてもいいと思うので
私はよかったです。




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ブッダ (潮ビジュアル文庫)

オットが、レンタルショップでずっと探してたんですが
なかなか手に入らず。
本屋に行くと新品を「全巻買いしようよー」というのを
ちょっと待って、と思いとどまらせてました。
1冊510円なので12巻で6120円もします。

そうしてたら
先日、たまたま散歩に行った公園近くの市民図書館で
これと「火の鳥」を1冊ずつみつけたので借りてきました。

オットが読んだのは「コミックコム」という雑誌に連載されていた時で
まだ子供だったのでよく意味がわからなかったそうで
私は恥ずかしながらどっちも未読でした。
「長編」というイメージがあるので
気軽に読む感じじゃないというイメージもあったので。

でもせっかく天才と同時代に生きているのだから(というのは大げさ?)
読んでみたくはあったんですよね。

で「ブッダ」の1巻読んだら・・・・・
やっぱ、家に置いておかなければ!
という妙な焦りを覚えて、
あわてて中古全巻購入をしてしまいました。
税・送料込みで1冊382円はなかなかではないでしょうか?
ボロボロだったらガックリですが。

繰り返して読みたい本です。


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脳男 (講談社文庫)

ここのとこ、読んでもハズレが多かったのですが
久しぶりにおもしろい本を読みました。

しかも、普通に本屋さんで買ってても読むスピードに追いつかないので
売りに行ったブックオフで105円均一中心に10冊くらい買ったうちの一冊。
当たりでしたハート

[あらすじ]
連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。
逮捕後、新たな爆弾の在処(ありか)を警察に告げた、この男は共犯者なのか。
男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが……。
そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。
全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。

***

主人公の鈴木一郎は「感情表出障害」か?と診断されるのですが
痛みを感じないという「無痛症」でもあります。
この「無痛症」といえば、同じ症状を持った人物が出てくる
久坂部 羊の「無痛」という本を近い最近に読んでいたので
必然的に比べていました。

「無痛」の中では毒を持った昆虫や
ケガをした時には治療をしなければならないこと
(痛くないのでそのままにしていると命に支障をきたすので)
を、繰り返し教えていたのですが
鈴木一郎は「感情表出障害」のため
自分からは何もしない。
ので、時間とすべきことを書いた張り紙をあちこちに貼って
その通りにするような訓練をした、とあります。
誰かが「指示」しなければ「ずっとそのまま」なんですね。
食べない、トイレに行かない。

自閉症に起因するアスペルガー症候群やサヴァン症候群の傾向もあり、
非常に興味のあるキャラクターですが
偽名にしろ「鈴木一郎」という名前はあまりよくない気が・・・
もちろん作者も狙っているのでしょうが
某有名スポーツ選手をイメージさせるのはちょっとずるい。

自己の生成の鍵が「感情」であり、
無意識の表出として夢を見るようになった主人公が
最初の殺人を行なった時に「景色が鮮明になった」と告白する部分では
水に触れて物の名前と意味が関係していることを知った時の
ヘレン・ケラーのことを思い出しました。
というか、作者はあれをイメージして
このシーンを描いたのではないかというほどに酷似している気がします。
それは実に雷に打たれるような衝撃だったのではないでしょうか。

後半がよくない、スピード感が落ちるという意見が多いようですが
爆弾事件はこの鈴木一郎を描くための背景に過ぎないのだと
私は思いました。
だから爆弾犯緑川の目的やキャラクターが明らかにされないことも
それほど気にならなかった。
(ま、頭は良かったけどね)

感情を持たずに誕生し、やがてそれを手にしかけても
全編を通して感じるのは、主人公の哀しさばかりです。


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スイートリトルライズ (幻冬舎文庫)

あらすじ
この日常に不満はない、と瑠璃子は思う。淋しさは人間の抱える根元的なもので、自分一人で対処するべきで、誰かに―たとえ夫でも、救ってもらえる類のものではない。瑠璃子と二歳下の夫、総。一緒に眠って、一緒に起きる。どこかにでかけてもまた一緒に帰る家。そこには、甘く小さな嘘がある。夫(妻)だけを愛せたらいいのに―。

***

江國 香織の作品では「号泣する準備はできていた」が好きです。
タイトルにひかれて期待せずに手に取ったのですが
さすが直木賞だけあって、どれもよくできていました。
ただのエピソードに終わらずに、深い余韻が残りました。

他にも何冊が読んだと思うけど印象には残っていません。
で、なんでこの本を買ったかというと
普通じゃない夫婦のカタチに興味を持ったから。

でも、あんまりよくはなかったです。
雰囲気はわかるけど。
守りたいもののために嘘をつく、ということは
正直に話すのはその逆だから。
他の人を愛してるけど夫婦を守りたいなんて
なんか納得できない。
(「家族」を守りたい、ならちょっとわかるが)

しかも家に帰れば夫婦がうまくいってるかというとそうでもない。
ディスコミュニケーションでかみあわない会話。
一方通行な思い。

他の人を好きになっていわゆる浮気、不倫をする、
というとこまでならわかる。
そういうこともあると思う。

でもね、なんかあまりに「小説仕立て」で絵空事っぽい。
ドラマティックすぎて興ざめ。
美人でさらっとしてて料理がうまくて仕事もばりばりできる妻なんてうそくさい。

しかし江國香織という人はそれが持ち味なんだろうし
彼女の作品が好きな人はそういうとこがいいんでしょうね。

友人の恋人と寝るとかいうのは村上春樹の作品にもよくあるけども
村上春樹がおもしろくてこの人のを受け入れられないのは
主人公の一方である留璃子があまりに「クールな自分」に酔っている部分が
読んでてうっとうしいからかも。

守りたいっていってもこれからどうすんの?って言ってあげたい。


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